旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
空に向かって想いを馳せると、まるで彼女が答えるように強い風が吹き荒れた。

きっと姫乃も俺の背中を押してくれている。そう、自惚れてもいいよな?

もう一度広い海を目に焼きつけ、海岸を後にした。

芽衣に想いを伝えたい。……でもまずはご両親に謝罪するべきだ。

彼女を幸せにすると誓ったのに、数ヵ月で傷つけてしまったのだから。

芽衣とは周囲から祝福されて幸せになりたい。この先の未来もずっとそばにいてほしいから。

そのためにも筋はしっかり通すべき。……しかし当然ながら、久我社長をはじめ、芽衣の母親は話を聞いてくれるどころか、会ってさえくれなかった。


「まぁ、当然の報いだろうな」

「あぁ、わかってる」

仕事中に父さんに社長室に呼ばれ向かうと、話は芽衣のことだった。

「久我さんから私の方にまで連絡がきたよ。芽衣はもう二度と俊也君の元へ戻すつもりはないからと」

「……そっか」

当たり前だよな。こんな男に大事な娘を託せるわけがない。

「皮肉なことに聞いたところ、お前との一件以来、芽衣さんは母親とのわだかまりがなくなったそうだよ」
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