旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
でもそれは芽衣にとって良いことだよな。ずっと疎外感を抱いていたと言っていたし、なにより芽衣が結婚を焦っていたのは、あの家を出るためだったのだから。

「ご両親の許しを得ないことには、芽衣さんに想いを伝えないつもりだろ? どうするんだ? このまま諦めるか?」

「そんなわけないだろ? 門前払いされようと、何度も頭を下げにいくよ。それから正々堂々と芽衣にもう一度プロポーズする」

自分の想いをハッキリ伝えると、父さんは大きく頷いた。

「それを聞いて安心したよ。父さんからも久我さんを説得する。お前はお前で誠意をしっかり伝えるんだ」

「ありがとう」

芽衣と歩めない人生など考えられない。例え今はもう芽衣に嫌われているとしても、諦めない。もう一度振り向かせてみせる。

彼女への想いを必死に抑えながら会社では、上司と部下として接し、時間が空けば芽衣のご両親に会いに行った。

なかなか気持ちが伝わらない日々にヤキモキし、焦りを覚えるばかり。

以前から思っていたが、芽衣は可愛い。このまま彼女に気持ちを伝えられずにいたら、誰かに取られる可能性だってある。そう思うと怖くなった。
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