旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

「……そうか」

父さんから聞いた話はどうやら本当のようだ。芽衣、ご家族とうまくいっているんだな。

『俺としては大切な妹と親友がうまくいってほしいよ。……でも芽衣は違うからなぁ』

「どういうことだ？」

意味深なことを言う昴に尋ねると、彼は話してくれた。

『芽衣は俊也のことを忘れようと必死だ。……育休中の先輩が職場復帰するのを機に、転職することも考えているみたいだぞ？　ならうちの会社に来ればいいと話した。それと俊也の気持ちは知らなかったから、見合いを勧めたら家族みんな乗り気だ』

転職に見合いって……嘘だろ？

言葉を失う俺に、昴は真剣な声色で畳み掛けてきた。

『いいのか？　このまま芽衣に気持ちを伝えなくて。筋を通すことも大切だと思うが、一番大切なのは、何より先に芽衣にお前の気持ちを伝えることじゃないのか？』

「それは……そうかもしれないが、俺は芽衣とみんなに祝福されて結婚したいんだ。そのためにもご両親に認めてもらうのが先決だろ？」

家族との関係が良好なら尚更だ。

自分の考えを述べると、昴は盛大なため息を漏らした。