旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「芽衣、荷物はこれだけか?」

「はい」

ほどなくして私たちはまた一緒に暮らし始めた。――と言っても、なんだかんだ一ヵ月過ぎてからになっちゃったけど。

それというのも、計画していた家族旅行に行ったことと、なによりお兄ちゃんに引き止められ続けたからだ。

「俊也はこれから先、死ぬまで芽衣と一緒に暮らせるんだ。もう少し芽衣との幸せな生活を満喫させてくれ」なんてことを言われながら。

クローゼットの中に洋服をしまっていると、玲子と行くはずだった婚活パーティーに着ていく服が出てきた。

もちろん婚活パーティーは断った。俊也さんとのことを伝えた時、玲子ってば泣きながら喜んでくれたんだよね。

そんな彼女にも早く幸せになってほしいと切に願ってしまう。

片づけを済ませ、ふたりで手を繋いで近所のスーパーに買い物に出掛けた。

「今晩はなにを作ろうか」

「俊也さんが好きなもの、作りますよ?」

「いいのか?」

「はい」

実家暮らし中、どうやらお兄ちゃんが俊也さんに、私が自分のために好物を作ってくれたと、自慢していたようだから。
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