旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
それを聞いて俊也さん、面白くないって言っていたし。

いくつになっても子供のようなやり取りができるのは、仲が良い証拠なんだろうけど……聞いているこっちは笑ってしまうというか、呆れてしまうというか。

「そうだ、芽衣。明日、行きたいところがあるんだ。……付き合ってくれないか?」

「いいですよ、どちらに行くんですか?」

聞くと彼は大きく瞳を揺らした。


次の日、俊也さんが私を連れてやってきたのは姫乃さんが眠る墓前だった。

途中で購入した花束を供え、手を合わせた彼に続いて私も手を合わせた。

俊也さんから、姫乃さんの手紙のことを聞いた。彼女の手紙のおかげで自分の気持ちに気づけたということも。

死が近づいてくる恐怖と闘いながら、姫乃さんはどんな思いで彼に、あの手紙を書き残したのだろうか。

やっぱりどんなに頑張っても私は、姫乃さんに勝つことはできないと思う。でも俊也さんと幸せになれることはできるはず。
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