旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
周囲に人がいないかキョロキョロする私の腰に腕を回し、彼は軽々と抱き上げた。

「キャッ!?」

視界が高くなり咄嗟に彼にしがみつく。

「芽衣、上を見て」

言われるがまま視線を上げると、いつもより空が近い。

「綺麗な空だな」

「……はい」

雲ひとつない澄み切った青空は本当に綺麗。

「こうして何気ない景色に感動したい」

そっと私を降ろし、大きな手が優しく私の手を包み込んだ。

「たくさん笑い合って、時には喧嘩もしたりして。……もしかしたら辛いことがあるかもしれない。でもふたりで乗り越えて、そうやって幸せに芽衣とこれからの未来を生きていきたい」

やだな、そんなことを言われたらまた泣いちゃいそう。

必死に涙をこらえる私に、彼は優しい声色で言った。

「芽衣……俺と出会ってくれてありがとう。こんな俺を好きになってくれてありがとう」

「……俊也さん」

だめだ、涙腺が崩壊する。
< 260 / 262 >

この作品をシェア

pagetop