旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
来るもの拒まず去るもの追わずがモットーな人だ。以前、織田先輩が門脇部長のことを『独身貴族』だと言っていたけど、まさにその通りだと思う。

でもそんな門脇部長に、遊ばれてもいい!なんて言う女性社員までいるほどモテる。

もちろん彼は仕事とプレイベートは分別する男だ。社内の人間と関係を持つことはない。ある意味紳士な行動が彼の人気に拍車をかけている。

そんな門脇部長ファンから、私は少しばかり妬まれていた。仕事とプライベートは分別する男。女性社員のことは全員苗字呼び。……それなのになぜか私のことを下の名前で『芽衣ちゃん』と呼ぶ。

勤務中は『キミ』と呼ばれ、こうして就業時間外や昼休みなどは、『芽衣ちゃん』と呼んでくるのだ。

そういえば一度も苗字で、『姫野』と呼ばれた記憶がない。

おかげで同僚や同期に「門脇部長、芽衣のことが好きなんじゃないの?」なんてよくからかわれるけれど、それは絶対にないと思う。

彼に好意を抱かれている感じがまったくないもの。……そりゃまぁ、私もちょっぴり自分だけ下の名前で呼ばれるたびに、もしかして私は門脇部長にとって特別な存在なの? なんて自惚れていた時期もあったけど。
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