旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
だけどどうして門脇部長は周囲に偽っているの? 社長の息子なら、苗字は青野のはず。母方の性を名乗ってまでどうして……?

耳を疑う話にすぐさま彼を見ると、「話を合わせて」と言うように、目で合図を送ってきた。

そうだ、今は話を合わせるしかない。それにお母さんも珍しく機嫌がいい。あれほど過保護だったお兄ちゃんも、相手が門脇部長だと違うみたいだし。
本当に結婚相手として申し分ない。……彼が御曹司でなければ。

「いいや、母さん。芽衣が俊也を支えるんじゃない。俊也が芽衣を支えるべきだ」

「つまり母さんも昴も、お互い支え合っていってくれと言いたいんだろう?」

お母さんとお兄ちゃんの話をまとめたお父さんは、終始ご機嫌。

「ありがとうございます。……おじさんの言うように、彼女と支え合って家庭を築いていきたいと思います」

門脇部長があまりに優しい瞳で私を見るものだから恥ずかしくなる。彼の本心かどうかわからないというのに……。

「よろしく頼むよ」
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