旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
声高らかに言うと、お父さんは「お祝いにシェフを呼ぼう」と言い出した。

その後、ケータリングサービスを頼み、都内のホテルの有名イタリアンシェフを自宅に招き、キッチンで美味しいコース料理をいただいた。

だけど私は、和やかに家族と会話を楽しむ門脇部長の正体が気になって仕方がなかった。

「結納や今後のことについて、近いうちに会って話そう」と言うお父さんたちに見送られ、私と門脇部長が実家を後にしたのは十六時を回った頃だった。

車に乗り込んで家から遠ざかったのを確認し、私はすぐさま運転する彼を責め立てた。

「門脇部長、どういうことですか? わかるように一から説明してください!」

「まぁまぁ、芽衣ちゃん。落ち着いて」

彼は私を宥めるけれど、落ち着いてなどいられない。

お兄ちゃんと門脇部長が大学時代からの友人というだけでも驚いたのに、なにやら彼にはたくさんのヒミツがあるようだ。なにより一番聞きたいのは……。
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