旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

本当……なんだ。門脇部長がうちの会社の次期社長だったなんて……。

「芽衣ちゃんが久我食品会社の社長令嬢だってことも、家庭の事情も、どうして早急に誰でもいいから結婚したいと思っていたのかも、全部知っていた。だから俺はキミに本当のことを言えずにいたんだ」

「……嘘」

お兄ちゃんと友達なんだもの、家の事情を知っているのはわかるけど、どうして私が早く結婚したい理由まで知っているの？

言葉が続かずにいると、門脇部長は困ったように眉尻を下げた。

「昴から芽衣ちゃんが久我の家に来た経緯を聞いた。……それと最近になって、結婚を焦っているようだという話も」

「お兄ちゃんが、ですか？」

お父さんにはうまく誤魔化せたし、お兄ちゃんもお父さんの話を信じていると思っていた。それに一度もお兄ちゃんから、結婚に関して言われたことはなかったから。

ただ、俺が認めた相手としか結婚させないとは、昔から耳にタコができるほど言われてきたけど。

驚きを隠せずにいると、門脇部長は話してくれた。