旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
少なくとも今日見た限りでは、文句は言っていたけれど、私たちの結婚に対して反対している様子は見られなかった。

疑問に思ったことを口にすると、彼はますます眉尻を下げた。

「それは俺と昴の仲だから……と言っておこうか。とにかくあいつは、俺になら芽衣ちゃんを任せられると思ってくれているよ」

「そ、そうですか……」

彼の話を聞き、なぜか恥ずかしくなって顔を伏せた。

でもこれですべて理解した。……だからこそ、彼に伝えないと。

奥歯をギュッと噛みしめて再び顔を上げた。

「私……やっぱり門脇部長とは結婚できません」

彼が普通の人ではないのなら、結婚などできない。私はもう久我の家に縛られたくないから。

自分の思いをはっきり伝えると、彼はいつになく厳しい表情を見せた。

「それはどうして? 俺が御曹司だから?」

「……はい」

嘘をつくことなく素直に答えると、門脇部長は深いため息を漏らした。
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