旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

「母が亡くなった時に初めて私の存在を知ったそうです。私がどう思おうが、父親としてこれからの時間は家族として、共に過ごしていきたい。ずっと娘が欲しかったんだと、何度も言われました」

最終的にはお父さんに根負けして、私は施設を後にした。突然現れた父親という存在を拒否し、戸惑う反面、嬉しくもあったんだと思う。

幼い頃からずっと、父親という存在に憧れていたから。

「それで久我の家で暮らすことになったんですけど、すぐに施設を出たことを後悔しました。ご存知の通り、お兄ちゃんは私を歓迎してくれましたが、お母さんは違ったから」

初対面の時から、私を見る目はとても冷ややかで、子供ながらに歓迎されていないことがすぐにわかった。

他人行儀に『芽衣さん』と呼ばれ、呼び方からも『あなたはこの家に相応しくない』と言われているようだった。