旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
門脇部長の立場なら、結婚を急かされて当然だと思う。しかし、だからと言ってそう易々と同意などできない。

いまだに至近距離にいる彼に問うた。

「私、普通の結婚ができるなら誰だっていいと思っていました。でも、穏やかで幸せな毎日を望んでもいるんです。……門脇部長と結婚したら、そんな毎日は決して訪れませんよね?」

チクリと嫌味を言ってしまった。
でもはっきり言わないと、わかってくれないでしょ? ……私はもう二度とあんな惨めで悲しい思いはしたくない。

引き下がりません!と意思表示するように、門脇部長から目を逸らすことなく見つめる。すると彼は、真剣な瞳を私に向けた。

「俺と結婚してくれたら、芽衣ちゃんのことを全力で守るよ。……世界で一番幸せにする」

「……えっ」

ドキッとするような言葉を言うと、彼は私の瞳を捕らえたまま続ける。

「俺たちがいる世界は、時に醜い争いに巻き込まれることもあると思う。芽衣ちゃんが心配することも、もしかしたらどこかで誰かに言われるかもしれない。だけどその時は俺が守るから。俺と結婚したことで、嫌な思いは絶対させない」

「門脇部長……」
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