旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
迷いなく放たれた言葉に、胸がギューギューに締めつけられて苦しい。

やだ、ドキドキしている場合じゃないでしょ? なにか言い返さないと。

頭ではそうわかっているのに、なかなか言葉が出てこない。……それに彼の瞳は、嘘を言っているようには見えないから。

門脇部長は本当に私のことを守ってくれるのだろうか。嫌な思いなどすることなく、過ごすことができるの?

一瞬、心が揺れたもののすぐに自分に言い聞かせる。また流されるわけにはいかないと。

「門脇部長は本当に私と結婚してもいいんですか? ……私のこと、好きになれるんですか?」

目を引くほど美人ってわけではないし、スタイルがいいわけでもない。本当にどこにでもいるような容姿をしているから。

私のことを好きになれそうみたいなことを言っていたけれど、ただ、結婚の条件にピッタリというだけで結婚してもいいの?

「そりゃ早く結婚したいと、切羽詰っていましたけど……。私は始まりがどんなかたちでも、結婚したからには相手のことを好きになりたいですし、私のことも好きになってほしいんです」
< 69 / 262 >

この作品をシェア

pagetop