旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

「俺は芽衣ちゃんのことを騙していないし、後になって笑うつもりもない。……ただ、純粋に芽衣ちゃんと結婚したいと思ったからプロポーズしたまでだけど？」

私の顔を覗き込みながら言われた言葉に、顔が熱くなる。

「なっ、なに言って……！　門脇部長は独身貴族なんですよね!?」

飲み会の席で誰かが彼に結婚しないんですか？　って聞いた時、自分で「俺、独身貴族だから」と言っていたのを覚えている。それなのに私と結婚したいと思ったなんて。

頭の中はパニック状態。そんな私とは打って変わり、門脇部長は冷静に言う。

「たしかに俺は独身生活を満喫していたし、今後も今の生活を続けるつもりでいたんだけど、そうも言っていられなくなってね」

なにやらワケありな様子に、ドキッとなる。

私がこんなに結婚したいのも、もちろん理由があるから。

「この歳になると、色々と周りがうるさくてね。言われるがまま見合いでもして、サクッと結婚してしまおうかと考えていたんだ」

「サッ、サクッとって……」