旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
気恥ずかしくなりながらもしっかりと自分の思いを伝えると、それに答えるように彼の大きな手が私の手を包み込んだ。

「この前も言ったが、結婚するからには芽衣ちゃんに操を立てるよ。それに芽衣ちゃんのことは以前から好きだったし、これから先、もっと好きになれると思うから」

優しい声色にまた胸がトクンと音を立てた。

もう。どうして門脇部長はこうも聞いているこっちが恥ずかしくなることを、平然と言えるのだろうか。

聞いたのは私だけどさ。……あまりに迷いなく言われちゃうと、信じてみたくなっちゃうじゃない。

どう反応したらいいのかわからなくて、目は泳ぐばかり。
すると彼はクスリと笑った。

「芽衣ちゃんがうちの部署に異動になったことを知った昴から、頻繁に連絡がきていたんだ。会社での芽衣ちゃんの様子はどうだって。……最初は昴に報告するためだったけど、いつの間にか自然とキミを目で追うようになったよ」

「えっ……?」

ゆっくりと門脇部長を見ると、彼は目を細めた。
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