旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「慣れない業務に四苦八苦しながらも、その姿から本当に仕事が好きなんだと伝わってきた。俺も頑張らないといけないと思わされたよ。……だけどあまりに奮闘する姿に、心配にもなった。上司である俺に、もっと頼ってくれてもいいのにって」

「門脇部長……」

初めて聞く彼の本音に胸が震える。

知らなかった。門脇部長がそんな風に思ってくれていたなんて……。

彼は『もっと頼ってくれてもいいのに』って言うけれど、私は門脇部長にこの一年でたくさんお世話になった。

いつも気に掛けてくれて、妊娠中の織田先輩に申し訳なくて、なかなか聞けないことも、『俺が教えるよ』と言い、嫌な顔ひとつ見せずに教えてくれたもの。

「何事にも一生懸命で、妊娠中の織田や周りの人間を気遣い、思いやることができる。……俺、芽衣ちゃんのことを知れば知るほど、好きになれる自信がある。現に今も芽衣ちゃんの話を聞いて、守ってやりたいと思うから」

そう言うと彼は、私の手を握る力を強めた。
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