旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

彼の言うことは正しいと思う。でもそれは、私の立場に立っていないから言えることじゃないのだろうか。

当事者になってみないと、わからないことだってあるでしょ？　それに彼の言う、自分の人生を幸せに生きる方法ってなに？　それってもしかして……。

「じゃあ門脇部長は、自分と結婚したら私は幸せになれると思っているんですか……？」

たまらず聞いてしまった。だってそうでしょ？　彼はずっと私と結婚したいと言ってくれていた。それはつまり、俺と結婚すれば、幸せになれるってことだよね？

瞳を捕らえると、門脇部長は優しく微笑んだ。

「俺は芽衣ちゃんに、自分の出生に負い目を感じることなく、いつかお母さんとも本当の家族になってほしい。そのためならいくらだって力になる。……俺は好きな子には、逃げずに何事にも立ち向かってほしいんだ。そうすることで初めて幸せな人生を送ることができるんじゃないか？」

なにも言い返せなかった。