旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

それは、婚活中にずっと私が思い描いていた理想のかたち――。

結婚して生活を共にしたら、相手のことを好きになれるはず。夫婦になってから関係を築いていくかたちがあっても、いいと思っていた。

それに門脇部長と結婚したら、嫌でも自分の運命から逃げることができなくなる。

彼と結婚することでもしかしたらまた、心ない言葉を言われるかもしれない。でも私は誰かに後ろ指をさされるようなことは、なにひとつしていないよね。だったら逃げずに堂々と立ち向かうべきなのかも。

私はたしかに亡くなったお母さんに愛されていた。望まれずに生まれてきたわけじゃないはず。

門脇部長と結婚したら私は、少しでも強い自分になれそうな気がする。……でも、ひとつだけ気になることがある。

「あの、門脇部長は本当にいいんですか？　私と結婚しても」

正直、〝好き〟と〝愛〟の違いがわからない。それなりに恋愛はしてきたけれど、誰に対しても抱く感情は〝好き〟じゃないだろうか。

門脇部長は、私のことを好きになれる自信があるという。私だって彼のことは尊敬しているし、知れば知るほど好きになれる気がするから。