旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

『もう逃すつもりはないから』

「いや～、もう連日私まで質問責めよ。芽衣と門脇部長が結婚するって公表してから、社内に大激震がはしったわね」

ハンバーグを食べながらしみじみと話す玲子に、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「なんかごめんね。迷惑かけちゃって……」

「なーに言ってるの？　これは嬉しい迷惑でしょ？　だって親友がモテ男をゲットしたんだもの。誇り高いわよ」

「アハハッ！」と言いながら陽気に笑う彼女の姿に、自然と笑みが零れた。

門脇部長との結婚を受け入れて、そろそろ一ヵ月が経とうとしていた。今日まで、めまぐるしい日々を過ごしてきた。

こうして玲子と、仕事終わりにご飯を食べるのも久しぶりだった。

「来週にも籍だけ入れて、夫婦生活をスタートさせるんでしょ？　一緒に暮らし始めたら、案外すぐに好きになっちゃうんじゃないの？」

「アハハ……どうだろ」

彼はどうかわからないけれど、私の場合はあながち間違っていないから、笑って誤魔化した。