旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

『芽衣さん、どうかあの子のことをよろしくお願いします』

帰り際、ご両親から言われた一言が、胸の奥に深く響いた。それと同時に、私は本当に門脇部長と結婚するんだって、より実感させられた。

その後、両家の顔合わせを済ませてつい先日、結納を交わしたばかり。そして社内に公表するや否や、私はすっかりと時の人となってしまった。

社内を歩けば常に注目を集め、仲が良い同期や同僚には、どうやって門脇部長を落としたのかと、質問されっぱなし。

門脇部長と結婚するということは、こういうことになると予想はしていたけれど、みんなの反応はその想像を遥かに超えていた。

でも嫌がらせや陰口を言われることはなく、会う先々で「おめでとう」と言ってもらえている。

そこはやはり彼の人徳なのだろうか。おかげで私は社内で、嫌な思いをせずに済んでいる。
宣言通り門脇部長に私は、守られているのかもしれない。

手はすっかり止まり、半分残っているハンバーグを茫然と眺めていると、玲子がしみじみと話し出した。