着替えを後にしたらよかった。僕は少し後悔する。
 
 朝食のしたく中、制服を汚すかもしれないから。浮かれてるなぁ、僕。普段ならこんなことしないのに。ジャケットを脱いで椅子にかけ、朝食のしたくを始めた。

 あらびきウインナーを炒め、お皿に盛る。次いで目玉焼きを作りつつ、サラダをこさえる。程よい焼け具合になった目玉焼きをお皿に盛り、食パンをトースターに入れようとすると、リビングのドアが開き兄さんが入って来た。

「兄さん、おはよう」
「ああ」

 兄さんは椅子に座ると、手にした新聞を読み始めた。

 焼き上がりを告げるトースターの音がリビングに響き、マーガリンをつける。最後にインスタントコーヒーを作り、朝食は完成。兄さんの向かいに座り、いただきますと手を合わせる。

 兄さんは広げた新聞を閉じ、朝食を黙々と食べ始めた。
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