涙
僕の家族は兄さんだけだ。父さんと母さんは、僕が八歳の時に交通事故で亡くなってしまった。十も歳が離れた兄さんは大学を諦めようとしたけど、叔父さんが僕らの面倒をみてくれた。
兄さんは無事大手企業に就職。叔父さんも安心していたっけ。
「済まないな、渉」
「えっ、何が?」
突然の謝罪に、僕は素っ頓狂な声で応える。
「入学式」
「いいよ、そんなの。兄さん仕事だし」
確かに小学生時代は授業参観日や卒業式に兄さんが来なくて淋しかったけど、今はもうそんな歳じゃない。
朝食を食べ終わり、僕と兄さんは家を出た。
兄さんは無事大手企業に就職。叔父さんも安心していたっけ。
「済まないな、渉」
「えっ、何が?」
突然の謝罪に、僕は素っ頓狂な声で応える。
「入学式」
「いいよ、そんなの。兄さん仕事だし」
確かに小学生時代は授業参観日や卒業式に兄さんが来なくて淋しかったけど、今はもうそんな歳じゃない。
朝食を食べ終わり、僕と兄さんは家を出た。