涙
四月とはいえ、まだ風が冷たい。だけど緑が生い茂り、桜の花は満開で、町全体が色鮮やかに見える。冬の重く暗い雰囲気はもう無い。
電車に乗り、二つ目の駅で降りる。学校への道は説明会や試験の時でもう覚えた。
学校にたどり着き、僕は校門をくぐろうとすると、門前に立っていた先生――と思われる人に「おい」と呼び止められた。何だろう。
「君、ここは男子校だぞ」
何を言ってるんだろう? 分かりきった事なのに。
「ええ、知ってます」
僕は普通に応える。けれど先生は眉間にシワを寄せてさらに言葉を続けた。
「いや、だから。君、女の子だろう? わざわざ制服まで用意して……困るんだよ、漫画のマネされると」
「ち、違います! 僕はここの新入生です」
どうも僕は容姿が男らしくない。前にも大学生のお兄さんにナンパをされ、誤解を解く事に苦労したっけ……。
「生徒手帳見せれば? 説明会で貰ったじゃん」
ふいに背後から提案され、僕は慌ててカバンから手帳を取り出し、先生に差し出す。
先生は訝しげに手帳を確認している。その険しい表情は、徐々に焦りに変わっていった。
電車に乗り、二つ目の駅で降りる。学校への道は説明会や試験の時でもう覚えた。
学校にたどり着き、僕は校門をくぐろうとすると、門前に立っていた先生――と思われる人に「おい」と呼び止められた。何だろう。
「君、ここは男子校だぞ」
何を言ってるんだろう? 分かりきった事なのに。
「ええ、知ってます」
僕は普通に応える。けれど先生は眉間にシワを寄せてさらに言葉を続けた。
「いや、だから。君、女の子だろう? わざわざ制服まで用意して……困るんだよ、漫画のマネされると」
「ち、違います! 僕はここの新入生です」
どうも僕は容姿が男らしくない。前にも大学生のお兄さんにナンパをされ、誤解を解く事に苦労したっけ……。
「生徒手帳見せれば? 説明会で貰ったじゃん」
ふいに背後から提案され、僕は慌ててカバンから手帳を取り出し、先生に差し出す。
先生は訝しげに手帳を確認している。その険しい表情は、徐々に焦りに変わっていった。