残酷なこの世界は私に愛を教えた
ここまで来ると俺が何も言わなくても好き勝手に話して教えてくれる訳で。
「すっごい良い子でね、私も色んな話聞いてもらったな」
「そう、みんなの相談係みたいな? 何でもちゃんと聞いてくれて向き合ってくれるのー」
それは何となく想像出来るかも知れないと思った。
夏休み、無理に壮介の家に連れていった俺にずっと真剣に向き合ってくれたことを思い出す。
「あー、良い奴だもんな」
「だよねー、流石スガちゃん見る目あるー!」
「あ、ありがとう……?」
「あっ、でも良いように使ってたとかそういうんじゃないよ? そこ誤解しないでね」
「そーね。あとは……落ち着いた子だったけど笑ってる印象しかないなあ」
「あー、落ち着いてたね。それが良くてみんな周りに居たんだけど。ほら、私達ってうるさいじゃん?」
あ、そこは自覚してんだな。
「だから愛珠の隣はすごく心地良いっていうか。もう取り合いの勢いよね」
「そうそう! あははっ、ほんと懐かしい。男子も女子も先輩も後輩もみんな愛珠が大好きでさ。終いには先生達から愚痴聞かされてた時は笑った」
「先生からも?」
「びっくりするでしょ? 『高瀬は大人顔負けの包容力あるなあ』とか言っちゃって」
「お前は生徒の話を聞く側だろってね」
「言えてるー」
確かに、と納得する。それなら、今日散々色んな人に声を掛けられたのもまあ分かる。
――でも。
引っ掛かることがある。