残酷なこの世界は私に愛を教えた
《side愛珠》
トイレから戻ると、テラス席でさっき再会した私の中学の時の友達と隼人が話しているのが見えた。
「あれ、隼人どうしたの?」
「ん? ああ……何か連れてかれてた」
「ふーん……」
ああ、嫌だな。
ふとそう思ってしまう。
隼人が他の女の子と話しているのを見るのが嫌だ。
何て自分勝手な感情なんだろう。
私に気付いて隼人が戻ってくる。
「お、もう食べ終わったな。出るか」
それを合図に私達はそのカフェを後にした。
その日の午後は、何故かみんな静かだった。
滅多に無いその空気感に包まれたまま、帰りの電車では眠ってしまった。
――ガタンッ!!
大きな音に目を擦ると目の前に隼人の顔があった。
どうやら隼人の肩にもたれていたらしい。
「うわ、ごめん」
「おう」
そこには麻友子の姿も、中田先輩の姿も無かった。
「……みんなは?」
「ああ、帰ったよ」
「えっ」
「もうあいつらの最寄りは過ぎたよ。……ほら、いいから寝てな」
「あっ、ううん! 大丈夫! 目、覚めちゃったから」
「そうか?」