残酷なこの世界は私に愛を教えた
◇◇◇
ふわっふわで、美味しいパンケーキを食べ終え、一息つく。
「やっぱねーちゃんのパンケーキさいこー」
少し眠そうな、舌っ足らずな声がする。
「……んー、俺もうダメ……ねむ……」
小さくモゴモゴと言った先輩の声は私には届いてなくて。
“美味しかった ありがとう”
そう、画面を差し出すと。
先輩の寝息が聞こえてくる。
えっ? 爆睡してる!?早くない!?
今、喋ってたよね?
先輩がテーブルに突っ伏して眠っていた。
先輩の行動は奇想天外。
なんだか猫みたいだ。
きれーな寝顔を見て、そう思う。
気高くて、毛並みの整った、ビー玉みたいな瞳をした、血統書つきの猫。
気まぐれに何処へでも行ってしまいそうな。
それでいて、気まぐれに甘えてくるような。
誰の手にも届かないけれど、どんな人の懐にもすんなりと入れてしまう。
だけどたまに、子猫のような弱さを見せる。
結局猫じゃないか、と自分につっこんだ。