残酷なこの世界は私に愛を教えた
告白
◇◇◇
彼の家はお姉さんのカフェ“Happiness”から歩いて5分くらいの所にあった。
「あがって」
興奮が覚めてきたからか足が再び痛み出して、隼人は肩を貸してくれていた。
「お邪魔します」
「こっち」
リビングのソファに座らせられた。
「あの、隼人……」
「ん? どうした?」
「なんか、布とかある……?」
大きく胸元が開いた服を隠したかった。
「ああ、そうだな。待ってて」
そう言って彼は少し大きめのバスタオルのような、ブランケットのようなものを持ってきた。
「これで大丈夫か?」
「うん。ありがとう」
それを被る。
「なあ、愛珠」
隣に腰を下ろす隼人。
思わず隼人から離れるように座る場所をずらしてしまう。
「話聞いて?」
「……」
黙って首を横に振る。
どうせ麻友子と付き合うことになったっていう報告でしょ?
まだそれを受け入れられるほど落ち着いてない。
「なあ。駄目?」
「……」
黙ったままの私に諦めたのか、隼人は少し息をはいて立ち上がる。
「じゃあ、ちょっと待ってて」
そしてリビングを出ていった。
数分後。
ドアを開けて入ってきたのは、――麻友子だった。