残酷なこの世界は私に愛を教えた
「えっ?」
それは……友達として?
「ごめん、気持ち悪いよね。でもね、本気で愛珠のことが好きなの。恋愛感情で」
全く予想しなかった言葉に混乱する。
「じょ、冗談とかじゃなくて……? えっ? 友達としてとかじゃなくて?」
「冗談に見える?」
聞いているこっちが心を抉られるような、そんな声で言う。
麻友子は涙を流していた。その場に崩れてしまうのを防ぐように必死に足に力を入れているように見えた。
冗談な訳、無い。
そもそも、麻友子は冗談で人をからかうようなことなんて言わない。
「ううん、見えない」
彼女は私の言葉に少しだけ力を抜いて口角を上げた。
「ずっと好きだったの。中学の時から。転校することになって、一回は愛珠のこと忘れようとしたよ? でも高校入ってまた会えて、もう後悔しないように頑張ろうって思った」
中学の時から?
転校する前から?
情報の多さと驚きで頭が上手く回らないが何とか口を開く。
「じゃ、じゃあ、お弁当作ってくれたのって……」
「そう、愛珠に振り向いてほしくて。的外れなんだけどさ、私馬鹿だから何したらいいのか分かんなかったんだよね」
麻友子は自嘲するように笑う。
「……でもさ、気付いちゃったんだよ。愛珠、須貝先輩のこと好きなんでしょ?」
「えっ!?」
なんで知ってるの!?
「あはは、丸わかりだよ。……なんか私蚊帳の外なんだなって分かって、苦しかった」
そんな……全然分からなかった。自分の気持ちも、麻友子の気持ちも。