残酷なこの世界は私に愛を教えた
「……まず、ありがとう。私なんかをそう思ってくれて」
「うん」
「麻友子のことは友達として大切に思ってる。……でも、それは恋愛感情じゃない」
その空間は恐ろしく静かだ。
「麻友子の気持ちには……応えられない、ごめん」
私は頭を下げた。
「ううん。ありがとう、はっきり振ってくれて。愛珠、頭あげて?」
無理に明るくした声はやっぱりちょっと震えていた。
「でもねっ、麻友子。私はこれで麻友子と関わりなくなるの嫌だよ! 私はずっと友達で居たい」
「……ありがと。……私もそう思う。でもちょっと時間ちょうだい? 3年間の片思いの失恋は流石にキツい」
ははっと乾いた笑いを漏らす彼女。
「そう、だよね」
3年も私のことを想ってくれていたんだ。
それなのに私は……勝手に嫉妬して。
自分の醜さに嫌になる。
「多分時間かかるけど、愛珠とまた友達になれるように頑張るね」
悲しみが伝わってくるような、胸が痛くなるような笑顔。
それでも芯を持つように強く笑う麻友子は、とても……とても綺麗だった。