残酷なこの世界は私に愛を教えた
――バタン
麻友子と入れ違いで隼人が姿を現す。
「隼人……」
「……大丈夫か?」
それは麻友子にかけるべき言葉でしょ、と思う反面、その言葉に救われてもいた。
誰かの好意を断るときって、こんなに自分にもダメージくるんだ。
「もう何か、色々ありすぎて訳分かんないよ」
「だよな」
静かに私を座らせ、隣に座る彼。
「麻友子が……そんなこと思ってるなんて知らなかった。全然気付かなかった。……知らないうちに傷つけてたりしたのかな」
「そんなこと無いだろ。……愛珠がちゃんと話を聞いてあげたことが、一番嬉しいと思う」
「そうかな」
「あいつ、俺に愛珠のことが好きだって言うのもかなり時間がかかってんだよ。……気持ち悪いよね、こんな話聞かせてごめんなさいって」
「……気持ち悪いなんて思わないのに」
誰がそんな風に思うの。
「そうなんだけどな。お前は絶対そう言うと思ったよ。……愛珠、この前俺と愛珠達と智久でカフェ行ったとき智久が機嫌悪くなったの覚えてる?」
「うん」
確か、あの時は後ろに男性二人のカップルが座って……。
「えっ、まさか」
「あいつ、同性愛者を極端に嫌うんだよな」