残酷なこの世界は私に愛を教えた



「決まりね! 明日の分の制服なら私が着てたので大丈夫ね!」




気がつけば、すぐにいつもの声色に戻っていた。



「え、お姉さんも双葉高校なんですか?」



「ええ、そうなの。っていうか、“お姉さん”って何か堅苦しいわね。芽里(めり)っていうの、私。りーさんって呼んでねっ」




いきなり? てか、“りーさん”……? しかも“呼んでくれて構わない”じゃなくて“呼んでね”って……流石同じ遺伝子。隼人より強引だ。



「まだ型落ちしてないと思うの~。ほら!」



ごそごそとクローゼットを漁っていたかと思えば制服一式を取り出して私の胴体の横に並べて見る。


「やーん、懐かしい! まるで高校に戻ったみたいね~。ま、私が着るんじゃないけど」



例の如く怒濤の勢いで言葉を並べると私にはお構い無しに部屋の奥へと向かう。



「ここに私が使ってた教科書とか鞄があるの。ちょっと汚いけど……明日1日だけなら大丈夫でしょ?」



「何から何までありがとうございます」



「良いのよ~!」



そしてまた私を置いていく勢いでリビングへ戻る。



隼人は私を見て顔を緩ませる。




「やっぱりそっちの方が良いね」



そう言って軽く口付けをする。



「なっ……!」



ちょっと待って! 人前!! お姉さんの前!!



「やだ~、ちょっと見せつけないでよ」



お姉さんもそんなことは言ってみるものの全く気にする様子はない。



何て言うか……ノリがオープン過ぎやしません?






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