残酷なこの世界は私に愛を教えた
丁度料理が終わる頃、ドアが開き、綺麗な男女が姿を現した。
「あれ、お母さんとお父さん、今日は早いんだね?」
もう8時をまわっているのだが、そうりーさんが声を掛ける。
「ああ、隼人から連絡来たしな」
りーさんの言葉に、男性が返事をする。
この人がりーさんと隼人のお父さんで、隣の女性がお母さんなんだな。
やっぱり、綺麗な顔の造りしてる。
お父さんはそこまで背は高くないものの、綺麗にセットされた髪や着こなしたスーツが圧倒的なオーラを作っている。
“紳士”って言葉はこういう人のことを言うためにあるんだなぁ。
そして、りーさんと隼人の切れ長アーモンドアイはお母さんの血を受け継いで居るらしい。
シンプルなメイクでも首もとのスカーフに引けを取らない美しさ。
一言で言えば、ご両親は“上品”だった。
「あっ、初めまして。隼人がお世話になってるみたいで」
私に気付いてお義母さんがニコッと笑う。
うわあ……。これはきっと男なら惚れるなあ。歳なんて関係なく惚れるな。
そう確信する。
「お邪魔してます」
頭を下げると、「あら、良いのよ! こんな良い子が隼人なんかと仲良くしてくれて嬉しいわ!」と言うお義母さん。
あれ……この台詞、ちょっと前に聞いたような……?