残酷なこの世界は私に愛を教えた




何か、隼人がこんなに落ち着いた性格になったの分かる気がする。

こんなハイテンションな三人に囲まれて育ったらこうなるわ……。



予想外すぎるご両親の背中をぼーっと眺めていると、「ごめんね? あんなにうるさい両親で」とりーさんが私の肩を叩く。


いや、りーさんも中々負けてませんがね!?



「ねーちゃんもうるせえよ」


と、隼人がツッコむ。

いやほんと、そう思う……。



当のりーさんはと言うと、「なんですって!」とプリプリ。




そんな姉弟を横目に、私は夕食を皿に移した。







そして、隼人一家と食卓を囲む。



「いただきます」



全員の声が重なって響く。



「んー、美味しい! 愛珠ちゃん、天才ね!」


りーさんの言葉に、お義母さんも反応をくれる。



「ほんとよ~。美味しいわ! 愛珠ちゃんって言うのね? 可愛い名前!」



「ありがとうございます」


「ほら、ちゃんと男供も感想言うの! これは作ってくれた人へのマナーよ!」



お義母さんに喝を入れられて、隼人が口を開く。



「美味しいよ、ありがとう愛珠」


「ほんと? 良かった」


「ああ、上手いぞ。最高だな」


「ありがとうございます」



ちゃんと言ってくれたけど、りーさんとお義母さんは「もう、その棒読み何とかならないの?」と、小さく漏らす。



< 147 / 197 >

この作品をシェア

pagetop