残酷なこの世界は私に愛を教えた
何か、隼人がこんなに落ち着いた性格になったの分かる気がする。
こんなハイテンションな三人に囲まれて育ったらこうなるわ……。
予想外すぎるご両親の背中をぼーっと眺めていると、「ごめんね? あんなにうるさい両親で」とりーさんが私の肩を叩く。
いや、りーさんも中々負けてませんがね!?
「ねーちゃんもうるせえよ」
と、隼人がツッコむ。
いやほんと、そう思う……。
当のりーさんはと言うと、「なんですって!」とプリプリ。
そんな姉弟を横目に、私は夕食を皿に移した。
そして、隼人一家と食卓を囲む。
「いただきます」
全員の声が重なって響く。
「んー、美味しい! 愛珠ちゃん、天才ね!」
りーさんの言葉に、お義母さんも反応をくれる。
「ほんとよ~。美味しいわ! 愛珠ちゃんって言うのね? 可愛い名前!」
「ありがとうございます」
「ほら、ちゃんと男供も感想言うの! これは作ってくれた人へのマナーよ!」
お義母さんに喝を入れられて、隼人が口を開く。
「美味しいよ、ありがとう愛珠」
「ほんと? 良かった」
「ああ、上手いぞ。最高だな」
「ありがとうございます」
ちゃんと言ってくれたけど、りーさんとお義母さんは「もう、その棒読み何とかならないの?」と、小さく漏らす。