残酷なこの世界は私に愛を教えた
「別にそんな大丈夫ですよ。感想なんて強要しませんし」
逆に初めてのことに戸惑ってしまう。
「そう? 仕方ないわね……」
「いや、本心で言ってるって……」
隼人が小さく言うのを聞いて、思わず笑ってしまう。
「うん、知ってる」
そういうと、隼人は少し疲れたように笑った。
そして場が落ち着いた頃、りーさんが話題を出す。
「最近あの芸人さん流行ってるわよね~、何だっけほら、あれあれ……」
りーさんが口を開く。
「誰だ?」
「名前が出てこないのよ、ほら、なんかコントやる人」
「えぇ? 分かんねえ……」
隼人一家が首を捻る。
「ああっ! あの人達じゃないですか、“ソバ粉”」
「あ、そうそう! それ!」
「ああ、聞いたことはあるけど。てかねーちゃん年取ったな~」
「はあ? どういう意味よ!」
「名前出てこねえって……」
苦笑する隼人にりーさんが噛みつく。
「うるさいわね、隼人もこの歳になったら分かるわよ」
「ふふふ」
「あっ、愛珠ちゃんも笑ったわね!? 酷いわ、そうやって年寄りをいじめるんだわ」
そんなことをいってりーさんはウッウッ、と泣き真似をする。