残酷なこの世界は私に愛を教えた
「あら芽里、その歳でそんなこと言うなんて私に喧嘩売ってるのかしら?」
お義母さんに突っ込まれてう、と喉をつまらせるりーさん。
その場に全員の笑い声が響いた。
なんだか不思議な感覚だった。
会話を楽しみながら食事をする。
今まで、苦痛の場としか成り得なかった“食事”が、温かいものなのだと初めて気付いた。
「りーさんおいくつなんですか?」
「何歳に見える?」
りーさんは髪をかきあげ流し目をする。
ネタのつもりなんだろうけど……普通に様になってます。
「えー、だって20代入った位じゃないんですか?」
本当にそう思う。
まず何より見た目が若いし、高校生の弟が居るくらいなんだからそんなに上な訳無いだろう。
「あら~、嬉しいこと言ってくれる!」
と、にこにこするりーさんの横で隼人がボソッと「今度の誕生日で25歳……」と言う。
「ちょっと! いいのよ、余計なこと言わないで」
正直、25歳も20歳も変わらないように感じたけど黙っておくことにした。
温かい。これが“家族”って言うんだ、きっと。
色で言うなら、淡いオレンジってところかな。
初めて感じるその温度に、穏やかな気持ちになっていた。