残酷なこの世界は私に愛を教えた
眠る夜
夕食が終わり、お風呂も入った。
「じゃあ今日は布団ここに敷くわね。ごめんなさいね、こんな所で。後で芽里の部屋掃除しとくわ」
お義母さんがリビングの片隅に布団を用意してくれる。
「いえっ、全然大丈夫です。本当にありがとうございます」
お義母さんが眠そうに言うので、申し訳なくなってくる。
「じゃあ、また明日。おやすみ~」
ふらふらとリビングを出ていくお義母さんの後ろ姿を見送る。
もう、12時を過ぎていた。
真っ暗になった廊下を眺める。
やることが無い。
いつもは洗濯、掃除、etc……を全てを夜にやっていたから。
勉強道具も勿論無くて、ただ暇を持て余していた。
それから秒針の音が数千回響いたあと、ゆっくりとリビングのドアが開いた。
隼人が少し顔を覗かせた後、私に声を掛ける。
「愛珠……? どうした?」
電気はつけていなかった。
「寝れないのか?」
寝れない、という感覚では無かった。
夜を寝る時間だと認識したことは無かったから。
「寝れない、のかな……分かんないや」
「もう1時半だよ。ほら、寝よ?」
そう言ってソファに座っていた私を布団に入れ、隼人も隣に横になった。
きっと勉強していたのだろう。疲れたようにふーっと大きく息を吐く。