残酷なこの世界は私に愛を教えた



朝、目が覚めると目の前に隼人の顔があった。

まだ眠っているようだ。



まあ、無理もないな。まだ朝――いや、早朝4時だから。


隼人のお陰で眠りにつくことは出来たけど、やっぱりそれは浅いものだった。


モゾモゾと動いたのがうるさかったのか、隼人は寝ているまま私が動けないようにホールドした。



自然と顔が綻んだ。







◇◇◇


朝御飯――ほとんど全員が軽く済ませたが――の後、隼人が私に聞く。



「なあ、いつ頃なら家誰も居ねえの?」



「んー、運が良ければお昼頃かな」



「了解。じゃあ昼休みに行こうぜ」



「うん」


返事をした後で、ん!? と考え直す。

隼人があまりにも普通の調子で言うから思わず“うん”と言ってしまったが、それって昼休みに学校抜け出すってこと!?



「えっ!? 昼休み!?」



「そーだけど?」



当たり前のように隼人は言う。

本来立ち入り禁止の屋上に入っちゃう位だし、やっぱり隼人って……。



「五時間目の教科は?」



「えぇっと、現文」



「じゃいいじゃん。どうせ高松だろ? あいつの授業一回くらい聞かなくても大丈夫だって」




まあ、確かに……?



てことで、私達は昼休みに私の家に荷物を取りに行くことにした。





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