残酷なこの世界は私に愛を教えた
◇◇◇
結局あの後、少ししてから隼人を起こして学校に戻った。
「腹減った~! ねーちゃん! なんか……」
「はいはい、ちょっと待ってて」
でも、お昼を食べる時間が無かったので授業が終わるまで何も食べていない。
流石にそんな状態で勉強は出来ないのでりーさんのカフェにやって来た。
りーさんが軽くパスタを作り持ってきてくれる。
「うわっ、うまそ。いただきまーす」
手を合わせる暇も無くフォークでパスタを食べる隼人。
「落ち着いて食いなさいよー?」
りーさんの楽しそうな声が聞こえる。
確かに誰かが自分の料理を美味しそうに食べてくれたら、凄く嬉しくなると思う。
でも。
「今日はやたらと機嫌良いね、りーさん」
「りーさん……? またあいつ自分のこと訳わかんねえ呼び方させてんのか……」
ぶつぶつとそう言う。
「あれは完全に男出来たな」
そして横目でりーさんを見て一言。
「え、分かるの?」
「分かる。何年間姉弟やってると思ってんだよ」
「まあ……確かに」
りーさんは私達がそんなことを話しているとも露知らず、楽しそうに鼻歌を歌いながら空きテーブルを拭いている。
心なしか、足取りが軽い。
確かに、幸せを感じさせるオーラを纏っていた。