残酷なこの世界は私に愛を教えた

齟齬の全容





もう深夜になっていて、帰る手段が無かったので私と隼人は病院で一夜を明かすことにした。



待合室の椅子に並んで腰掛ける。




口が勝手に話し始めた。



─────





母親は私を24歳で産んだ。



当時、父親は17歳だった。




二人がどんな関係だったのか、そもそもどうやって知り合ったのかなんて聞いたこともないし興味もない。



でもとにかく父親にとっては望まない子供だった。


きっと彼は遊びのつもりだったのだろう。





“子供が子供を作る”





世間ではそんな言い回しがされるが、まさにそれだ。



当時まだ彼は17歳で、結婚出来る年齢では無かった。
それを良いことに彼は逃げだしたのだ。



母親はそれを受け入れられなかった。



もうその頃から狂っていたのかも知れない。



彼女は彼を夫だと思い込んでいた。そうやって精神を安定させていたのだろう。



実際彼はよく姿を現したわけだし。



彼女の中で父親はどんどん美化されていく。



そんな中、父親が暴れる所を目の当たりにする。
あの事件だ。




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