残酷なこの世界は私に愛を教えた
話し終わっても、少しの間、隼人は何も言わなかった。
そして何も言わず、私に触れるだけの口付けをした。
「……生まれてきてくれてありがとう。俺と出会ってくれてありがとう。ありがとう、愛珠。愛してるよ」
その言葉と共に私を包んでくれた。
私は幸せ者だ、と思う。こんなに素敵な人と出会えるなんて。
だけど。
「私も、愛してる」
だけど、その言葉を言うのは苦しかった。
――この温かさも、もう終わりかもしれない。
父親がりーさんに許されないことをしてしまったから。
もう、隼人の隣には居られないかもしれない。
こんなに好きなのに。隼人の体温を感じるだけで胸が痛くなるほど――愛しているのに。