残酷なこの世界は私に愛を教えた
その後
◇◇◇
そのまま私達は夜を明かした。
眠ることは出来なかった。
ずっと一晩中、りーさんとご両親にどう謝れば良いのか考えていた。
許してくれるだろうか。
もう、無理なのでは……。
自分達の娘を妊娠させ、暴力を振るった男の血を引く娘が自分達の息子と付き合っていて、家に転がり込んでいる。
隼人とも別れさせられるだろうか。
いや、そもそも顔なんて見たくないかもしれない。
――どうして。
どうしてこうも複雑に歯車が噛み合ってしまったのだろう。
どうして私に愛を教えてから――私が愛の温かさを知ってから、また温度のない世界へと突き返そうとするのだろう。
何も知らなければ良かったのに。
冷静になればはるほどその現実は残酷で。
私は、残酷な世界を呪った。
朝6時半。
連絡を受けりーさんのご両親が駆けつけた。
「隼人、愛珠ちゃんも! 芽里は!?」
「ああ、今……」
「ごめんなさいっ!!」
隼人の声を遮って頭を深く下げた。
「え、愛珠ちゃん……? どうしたの? 顔上げて?」
「父親が、両親が本当に酷いことをしました。謝っても謝りきれません。……もう、姿を見せるなと言うなら、そうします。本当に、ごめんなさい!」
「ちょっと話が読めないんだけど……とにかく顔を上げて?」
お義母さんが私の肩を掴んで上体を起こさせる。
「どういうこと? 説明してくれる?」
優しい声色で、でも少し緊張感のある口調だった。
私の代わりに、隼人が全てを話した。