残酷なこの世界は私に愛を教えた
「あっ、でも」
「ん?」
私は1つ、思ったことを話し始めた。
「あの人は……りーさんをちゃんと好きだったと思います」
「え?」
りーさんの不思議そうな顔が目に入る。
「あの人の考えてることなんて、あの人にしか分からないですけど……でも私は、きっとあの人はりーさんのことが好きだったと思います」
「それは、どうして?」
それは、昨日。
『あんたらなんか、殺してやるっ!!』
母親が、再び暴れ出した時。
「昨日、りーさんを守るように立ってたじゃないですか。だから……」
母親からりーさんを庇うように、りーさんの前に立った彼。
きっと彼は私にはあんな行動は取らない。
「今まで、私はあの人が誰かを庇う所なんて見たことありませんでした。いっつも自分のことしか考えてない彼しか知りませんでした。だから、彼はりーさんを好きだったと思うんです」
「……そう、かしらね……」
空気はりーさんの小さな声をも拾う。
「なんであの人がりーさんにこんな酷いことをしたのかは分かりません。多分、“子供”が駄目なんでしょうね」
「愛珠ちゃん……」