残酷なこの世界は私に愛を教えた
◇◇◇
数日後、警察から連絡が来た。
母親はあの後に精神鑑定を受けた。
“妄想性障害”と診断され、他殺の危険性から入院することになった。
治るのかは分からないと言うことだった。
父親とりーさんは示談という形になった。
りーさんはきっぱりと『今後近寄らなければ良いです』と言ったらしい。
私はそれでは甘いと思ったのだが、一度好きになった人だからこれが限界なの、とりーさんは笑った。
どこか遠くに行ったらしいと風の噂で耳にした。
私はというと、祖父母がいるので家に戻った。
祖父母のことは好きではないが、狂った両親の間で一番頼りにしていたのはやはり祖父母だった。
私を育てる為のお金も祖父母が出してくれた訳だし。
だからその分のお返しはしなくてはいけないと思う。
特別な会話があるわけではないし、今まで通り、静かな家だった。
でもずっと家にいるわけでは無くて、週の半分くらいは隼人の家にお邪魔した。