残酷なこの世界は私に愛を教えた
「そう。実は、高校からの後輩なの」
少しだけ沈黙が続いた。
「長池……くん? ちょっとこっちに来てくれるかな?」
お義父さんが、彼を連れ出す。
「お父さん!?」
「大丈夫、とって食ったりしないから」
慌てた様子のりーさんにお義父さんが苦笑する。
そのまま二人はリビングを出ていった。
「ちょっと芽里、本気なの? そんなに急に……」
心配なのはお義母さんも同じで、彼らが消えてからりーさんに向き直る。
「うん。ずっと前から好きって言ってくれてて……私も敦を好きになったの」
「いい人なのね?」
「そりゃもう、私には勿体無いくらい」
「……分かったわ。私は応援する。……でもね芽里、私達はあなたの親なの。心配なのよ……」
お義母さんがそっとりーさんを包む。
「ありがとう、お母さん。流された訳じゃないし、適当に決めた訳じゃない。本気なの」
「あなたが良い選択したって信じてるわ」
「うん」