残酷なこの世界は私に愛を教えた
それから間もなく。ほんの、20分くらい経った時。
ベッドからの少しの物音で俺は起きた。
目を開けると、高瀬さんが起きていた。
何か言いたそうにしているのでスマホのメモ画面を開き渡すと“来てくれてありがとう。もう遅いし帰って”という文面が帰ってくる。
「え、……あ、そっか。もう結構遅いよね。…………そういえば、ご両親はもう来た?」
ふと気になってそう聞くと首を振り“no”という彼女。
「そっか……。……ごめんね、俺が家まで送ってれば……」
頭を下げると高瀬さんは勢い良く首を横に振る。
彼女の優しさに脱帽する思いだ。別に今のやり取りだけでなく、今日1日一緒にいて気付いた。
高瀬さんは、気配りが上手いし、優しい。
「じゃあ、もう帰るね。また」
彼女に手を振り、俺は病室を出た。