残酷なこの世界は私に愛を教えた
先輩と日常
昼食と屋上
◇◇◇
事故から約一週間ほどで、退院することが出来た。
まだ包帯はぐるぐる巻きだけど十分回復したわけで、もう隼人先輩と会うことも無いと思っていたのだけど。
「えっ? あれって須貝先輩じゃない? 何でここにいんの!?」
「ヤバいヤバい、イケメンすぎて目が……」
何と、先輩が教室の入り口に立っている。
教室の中も、外の廊下もざわざわしているのが分かる。
やっぱり先輩は有名なんだなあ。
こんな美形を女子が放っておく訳無い。
ついさっき、
“今日は何時に帰るの?”
というメッセージに
“今日は授業終わったら帰るよ”
と返信したらこうなった。
慌てて駆け寄って“どうしたの?”とメッセージを送る。
「え?」
え? って……。いやいや、それはこっちのセリフなんですけど。
「送るから。これから毎日」
はい!?
毎日送る!? そんな大変なことをよくさらっと言えますね!?
付き合ってるならまだしも、私達は違うのに。
“大丈夫だよ!? 毎日なんて大変じゃん!”
「いいの。送らせて?」
“でも”
そう打つ指を先輩の声が止める。
「もう、お前が何言っても絶対送るから」
えっ。
先輩は普段、“高瀬さん”と私を呼ぶ。お前と言われて思わず心臓が音を立てた。
何、この感覚。
それから先輩は本当に毎日送ってくれるようになった。
そうなればもちろんあること無いこと噂されるわけで。
「一組の高瀬さんって、須貝先輩と付き合ってるらしーよ」
「えー、そーなの?」
そんな会話が聞こえてくる。