残酷なこの世界は私に愛を教えた
声
◇◇◇
それから先輩との会話が更に楽しみになった。何故か分からないけど、先輩と話している時間が一番楽しかった。
毎日お昼までの時間を数えて、時間が来ると教室を飛び出した。
「お、はやいね。そうそう、今日はこれがあるぞ~、姉ちゃんのプリン!」
ニヒッと笑いながら先輩がプリンを取り出す。
“ええ、もらって良いの!?”
「おう。姉ちゃんお前のこと覚えてて“あの子に~”って。実の弟よりお前のことだぜー」
そう言って口を尖らせる。
“お姉さん大好き~!”
「あ、お前媚び売ってんな」
“え、違うよ”
「嘘つけ」
少し拗ねたようにそんなことを言う。
仲の良い須貝姉弟が私は好きだ。
お弁当を食べ終え、プリンに手を伸ばす。
「うわ~、おいし~……」
「え」
先輩が目を見開いていた。
「……何?」
「お前、声……!!」
「え? 声?」
「声、出てる!」
「出……て、うわあああ! え、声出てるよね!?」
自分でも驚く。
「おお、出てるな! 良かったなあああ!」
「良かったぁ……!!」
驚く私を先輩は「良かったなあ」と頭を撫でてくれた。