残酷なこの世界は私に愛を教えた
ノート
それは、隼人に宛てた手紙のような、日記ようなものだった。
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6月12日
今日は、隼人と第一公園で遊んだ。
二人だけの鬼ごっこも楽しいけど、次はもう少し大人数でやりたいね。
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7月6日
今日も隼人と遊んだ。隼人の家でゲームをした。とても楽しかった。また遊ぼうね。
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最初の方は、毎日の楽しかったこと、面白かったことが書いてあった。
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8月26日
今日は病院に行って検査してきた。症状が悪化してるって。ねえ隼人、僕、あんまり長く一緒に居られないみたい。
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「えっ」
隼人が驚いた声を出す。
「壮介、病気だったんすか……」
そこから、ノートの内容は次第に病気に関することが増えていった。
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10月31日
隼人、今日はハロウィンだね。僕がもうちょっと体が丈夫だったら一緒にコスプレ出来たのにね。来年待ってて、って言いたいけどちょっと無理そう。ごめん。
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11月11日
今日はポッキー&プリッツの日だからって隼人がポッキーくれた。美味しかったよ、ありがとう。
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1月1日
年が明けて、あちこちでお祭り騒ぎだけど、僕は今日も病院の中。最近、自分でもがんが進行してるのが分かるんだ。
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3月8日
痛い。苦しい。辛い。
ねえ隼人、生きるのって辛いね。
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4月9日
今日は学校の始業式なんだって。僕はいつ学校に行けるのかな。もうずっと入院してるからみんな僕のこと忘れちゃってるんじゃないかな。