残酷なこの世界は私に愛を教えた


乱暴に、見開き2ページいっぱいに書かれていた。


ひどく乱暴で――痛々しい文字だった。



「っ……」



隼人が息を飲んで、パタンとノートを閉じる。


その後のページには何も書かれていなかった。
最後の日付は6月30日。


その後ろに乱暴な字があり、それで終わり。


多分。


多分、その後の一ヶ月間、壮ちゃんはずっと苦しんで居たのだろう。


毎日、痛みに苦しんで。

隼人の言葉を恨むようになるくらいに……。




「こんな……」




その場に居た人は全員言葉に詰まっている。






その時。ふと、ノートの裏表紙の前の紙が折り曲がっていることに気付いた。






「隼人、これ――」






ノートは、終わりでは無かった。






一番後ろのページには、文字がたくさん並んでいた。



表題は――『隼人へ』




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